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愛犬のペットフードに使われる酸化防止剤は安全?
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愛犬のペットフードに使われる酸化防止剤は安全?

廣瀬雅雄先生

愛犬に元気で長生きしてもらうために、ペットフードに使われている酸化防止剤は安全なのか、元内閣府食品安全委員会委員の廣瀬雅雄先生にお話を伺いました。

ペットフードに使われる酸化防止剤は安全?

フードは毎日与える必要がありますので原材料はもちろん、どのような添加物が使われているかも気になるところです。
添加物というと酸化防止剤が注目されていると思いますが、犬や猫の体に悪影響はないのでしょうか。

ペットフードに含まれている酸化防止剤、実は「フードの品質を保つために欠かせない」ものなのです。

なぜペットフードには酸化防止剤を入れる必要があるのかを説明したいと思います。

酸化防止剤は食品に含まれている油脂、たとえば青魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などに代表されるオメガ3系脂肪酸や、コーン油や大豆油に代表されるオメガ6系脂肪酸といった多価不飽和脂肪酸が、空気中にある酸素に触れて酸化するのを防ぐ役割をしています。

もしペットフードに酸化防止剤が入っていない場合、フードの保管状況が悪いとフード中の油脂が酸化され、過酸化脂質という物質が生成され食品の風味あるいは栄養価を損ねてしまいます。
それだけではなく過酸化脂質の酸化がさらにすすむと「ヒドロキシノネナール」という物質が生成され、はじめは良い栄養素だった物質が犬や猫の体にとって有害な物質をつくりだしてしまうことになります。

フード

酸化によって生成された有害な物質によって、健康にはどのような影響が及ぼされるのでしょうか

過酸化脂質による有害な作用というと、ヒトでは下痢の症状や動脈硬化などが挙げられますので、ペットでも大量に摂取すればこのような病態を起こす可能性は否定できません。

さらに最近ではヒトの皮膚のしみの原因が過酸化脂質なのではないかと言われているようです。

ペットフードではあまりないケースだと思われますが、ヒドロキシノネナールという物質が生成された場合、この物質が原因となって神経毒性や発がん性を引き起こす可能性が指摘されています。

治療を受ける犬

酸化防止剤は、フード中の油脂が酸化されて体に悪いものへと変わってしまうのを防ぐために必要なものだと分かりました。
ところが、インターネットなどでは酸化防止剤のBHA(ブチルヒドロキシアニソール)には発がん性があるという情報も散見されるので心配です。
BHAが含まれたフードをペットにあげ続けていても大丈夫なのでしょうか。

結論を先にいうと犬、猫に関してはBHAによる発がんの危険性はないと言っていいでしょう。

BHAは1949年頃にから安全な酸化防止剤として世界で広く使われてきた物質です。
日本では1954年に食品添加物さらに飼料添加物としても指定されました。
ところが、当時はBHAに対する信頼性に足るような試験のデータがあまりありませんでした。

そこで白羽の矢が立ったのが私の所属していた研究グループでした。当時の厚生省の依頼を受けて、BHAの発がん性に関する試験を国際的な基準でもう一度行うことになったのです。

試験はラットを用いて行いました。
当然発がん性が出るとは予想していなかったのですが、投与して2年経ってみるとラットの「前胃」という臓器に限って明らかな腫瘍が発生し、発がん性ありと判断されたのです。このデータが根拠となって、「デラニー条項」という食品添加物を含むすべての食品関連化学物質の安全性を保証するために必要な手続きに関する規定に基づき1982年にBHAの使用が禁止されました。

犬と猫

一度は発がん性があるということで使用が禁止されたBHAが、現在ペットフードに使用されるようになったのにはどのような経緯があったのですか。

その後、私たちのグループを含め国際的にも多くの試験が行われました。
その結果分かった事実は、発がん性が認められたのはげっ歯類であるラット、マウス、ハムスターの前胃のみであり、前胃をもたない犬、サル、モルモットなどではどの臓器にも発がん性を示すような兆候は全くみられなかったということです。
つまり、犬や猫には前胃がないのでがんができる可能性はないと言っても過言ではないでしょう
なお、げっ歯類に発生した前胃のがんを、前胃のないヒトに対する発がん性の評価に用いることは不適切であると国際的にも判断されています。

さらにペットフードに含まれているBHAの量はごくわずかであるため、ペットにおける摂取量もわずかです。
これは多くの安全性試験の結果を総合的に判断して設定したBHAの「1日摂取許容量」、つまりヒトが毎日一生涯摂取し続けても健康に悪い影響が出ないとされると量に満たない量です。

インターネットではBHAの発がん性に関する情報が誤ったかたちで伝えられてしまったようで、BHAを含んだフードを危惧する方もおられるようですが、このようにBHAはヒトにとっても犬や猫にとっても発がん性や健康への影響を心配する必要はない酸化防止剤だと言えるでしょう。

エサを食べる猫
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ライター PetFreak 編集部